資本利益区別の原則

資本取引と損益取引の区別
企業会計において利益は、下の図解のように期首自己資本と期末自己資本とを比較してその増加分により把握されます。
しかし自己資本の増加には増資のような資本そのものの増加もあります。したがって、自己資本の運用結果として獲得した増加資本と増資のような自己資本そのものの増加を明確に区別しなければ増資による自己資本そのものの増加までもが利益として把握されてしまうことになります。
そこで企業会計原則は、資本そのものの増加である資本取引を資本取引以外の損益取引と明確に区別することを要請しています。
資本剰余金と利益剰余金の区別
資本利益区別の原則にはさらにもうひとつの意味があります。それが資本剰余金と利益剰余金の区別です。
貸借対照表の純資産の部(自己資本)には、株主から直接払い込まれた拠出資本と、過年度に利益として稼得して企業内部に留保されている留保資本とにより構成されています。つまり、「自己資本=拠出資本+留保利益」です。
このうち留保利益(利益剰余金)とは、過年度に獲得した処分可能を当期まで処分しないで繰り越してきた(内部に備蓄してきた)ものです。具体的に例えるならば農園で収穫して倉庫に保管してある農作物のようなものです。したがってこれを全て処分したとしても何も問題ありません。
それに対して拠出資本(資本剰余金)とは、株主から拠出された資本を意味します。これを外部に処分してしまうことは企業が自らの身を削って利益を捻出していることに等しいです。
したがって拠出資本を外部に流出することを許してしまうといずれ企業活動を継続していくことができなくなってしまいます。そこで企業会計原則は資本剰余金と利益剰余金とを区別することを要請しています。
理解度チェック!
新株を発行した場合の新株発行費は、資本金と相殺することはできないが、株式払込剰余金(資本剰余金)と相殺することはできるか?
〔第1 問〕 青山建設株式会社の次の各取引について、仕訳を示しなさい。使用する勘定科目は下記の勘定科目群(A〜Z)か
ら選び、その記号と勘定科目を書くこと。なお、解答は次に掲げた(例)に対する解答例にならって記入しなさい。
(20 点)
(例) 現金¥100,000を当座預金に預け入れた。
(1) 前期まで下記の機械を保有し、定額法で償却していたが、当期首(第7年目の期首)に除却した。除却した機械は\250,000と見積られ、「貯蔵品」勘定で処理する。
取得原価¥2,000,000 残存価額¥200,000 耐用年数8年
(2) 品川工務店を¥8,000,000で買収し、代金は小切手を振り出して支払った。買収時における品川工務店の資産・負債の状態は次のとおりであった。買収時点における仕訳を示しなさい。
材 料¥1,000,000 建 物¥9,000,000 借入金¥4,000,000
(3) 6 月1日に額面\5,000,000 の社債を¥100 につき¥96 で買い入れ、端数利息(日割計算する)とともに小切手を振り出して支払った。なお、この社債は償還期間5年、利率年3%、利払日3 月31 日と9 月30 日の年2 回である。
(4) 前期において契約額¥10,000,000(着手金の受入はなし)の工事(工期は3年)を受注し、成果の確実性が見込まれるために前期から工事進行基準を適用している。なお、当該工事の工事原価総額の見積額は¥8,000,000である。発生
した工事原価は前期が¥2,000,000、当期が¥4,000,000であった。当期の工事収益及び工事原価に関する仕訳を示しなさい。
(5) 外注先に対する工事の未払代金¥3,000,000 を決済日より早く小切手を振り出して支払い、0.5%の割引を受けた。
<勘定科目群>
A 現金 B 当座預金 C 完成工事未収入金 D 貯蔵品
E 未成工事支出金 F 建物 G 機械装置 H のれん
J 投資有価証券 K 支払手形 L 工事未払金 M 未成工事受入金
N 貸倒引当金 Q 減価償却累計額 R 利益準備金 S 借入金
T 完成工事高 U 完成工事原価 W 材料 X 有価証券利息
Y 仕入割引 Z 機械装置除却損
まず初めに下記等の語句を百回くらい書いて覚えてください。
仕訳問題集に仕訳があります。この語句の組み合わせを覚えることが大事になります。意味も覚えてください。例当座預金 会社名義の銀行貯金 手形を発行可能
当座預金 1 0 0 0 0 0 A 現金 1 0 0 0 0 0
未成工事受入金 160;2600000 完成工事高 5000000
完成工事未収入金24000000
完成工事原価 60; 4500000 未成工事支出金4500000
投資有価証券 2 4 6 0 0 0 0 当座預金 2 4 6 0 0 0 0
未成工事支出金1 8 5 0 0 0 0 0 当座預金8500000
支払手形1000000
雑損失 2 4 3 0 0 現金 2 4 3 0 0
修繕引当金500,000 当座預金 900000
機械装置400,000
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