手順[]
@建設業者が登録経営状況分析機関に対し経営状況分析申請を行い、登録経営状況分析機関は経営状況分析を行ったときは、遅滞なく、当該経営状況分析の申請をした建設業者に対して、当該経営状況分析の結果に係る数値を通知(具体的には「経営状況分析結果通知書」を交付)
A建設業者が国土交通大臣又は都道府県知事(審査行政庁)に対し経営規模等評価申請を行い、審査行政庁は経営規模等評価を行ったときは、遅滞なく、当該経営規模等評価の申請をした建設業者に対して、当該経営規模等評価の結果に係る数値を通知(具体的には「経営規模等評価結果通知書」を交付)
B建設業者が審査行政庁に対し、総合評定値の請求を行う。ただし、建設業者は@で通知された経営状況分析の結果に係る数値を自社の建設業の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事(許可行政庁)に提出しなければならない。審査行政庁は、経営規模等評価の申請をした建設業者から請求があったときは、遅滞なく、当該建設業者に対して、総合評定値(客観的事項の全体についての総合的な評定の結果に係る数値)を通知(具体的には「総合評定値通知書」を交付)
C審査行政庁は、公共工事の発注者(発注行政庁)から請求があつたときは、遅滞なく、当該発注者に対して、当該建設業者の総合評定値(当該発注者から当該建設業者の「経営状況分析」に係る数値及び「経営規模等評価」に係る数値の請求があった場合は、これらの数値を含む。)を通知。ただし、当該業者が総合評定値の請求をしていない場合は、審査行政庁は「経営状況分析」に係る数値を持っていないため、「経営規模等評価」に係る数値のみを通知すればよい。
となる。よって、建設業者は「経営状況分析」のみの受審でもよいし、「総合評定値」を請求しなくてもよいのだが、ほぼすべての発注者における入札参加資格審査申請では総合評定値を求められるため、実際はほぼすべての申請業者はBまで行う。また、AとBは同時進行で行われ、審査行政庁から交付される「通知書」も一体化している。なお、この「通知書」は下部に(参考)として「経営状況分析」に係る数値も掲載しているため、この「通知書」だけで、経営状況分析を含む経営事項審査全体の審査結果が把握できる。
公共工事を受注したい建設業者はこの経営事項審査を受けることが義務付けられている。有効期間は審査基準日(通常は決算日)から1年7ヶ月間。また、有効期間内に審査事項が変更になった場合、再審査を受けないと不利益をこうむることがある。
- この経審の総合評定値を客観点とし、これに各官庁・地方自治体等の独自の基準(主観点)を加えた総合点数で、入札ランクを決定する官庁・地方自治体等がほとんどである。
- 審査行政庁(国土交通大臣又は都道府県知事)が定めた添付書類(裏付け資料)を基に審査され、ペーパーカンパニーや暴力団関連の建設業者、いわゆる不良不適格業者を排除する仕組みを取り入れている。
- 審査は、審査基準日における下記に列挙する項目を評価する。審査を申請する日に審査事項が改善していても、審査基準日においての状況で判断する。
- 経審は、建設業許可を取得している企業しか受けることができない。したがって、建設業許可の取得のための審査ではなく、公共工事の受注を希望する建設業許可業者が、各官庁・地方自治体等の入札参加資格審査を受けるためのものである。
審査項目[]
総合評定値=P点を一定の計算式によって申請業種ごとに出す。計算式と要素は下記のとおり。
P=工事種類別年間平均完成工事高評点 () 申請した工事種類ごとに算出。2年平均(激変緩和措置により3年平均を選択することも可)。- 自己資本額及び平均利益額 () 自己資本額は、基準決算における純資産合計(激変緩和措置により2期平均を選択することも可)の絶対額で審査される。平均利益額は、利払前税引前償却前利益の2年平均の額で審査される。利払前税引前償却前利益とはEBITDA(イービットディーエー)のことで、経審では営業利益の額に減価償却実施額を加えたものと定義しており、2年平均の額をもって審査される。
- 建設業種類別技術職員数及び工事種類別年間平均元請完成工事高評点 () 技術職員数評点は、申請した建設業の種類ごとに審査基準日現在の人数で算出する。評価対象技術者と点数は、1級技術者(一級建築士、1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士等)で監理技術者資格者証の交付を受けており、直前5年以内に監理技術者講習会を受講している者(1級監理受講者)が6点、1級技術者であって1級監理受講者以外の者が5点、基幹技能者であって1級技術者以外の者が3点、2級技術者であって1級技術者及び基幹技能者以外の者が2点、その他の技術者が1点である。ただし、一人の職員につき技術職員として申請できる建設業の種類の数は2つまでである。工事の種類別年間平均元請完成工事高評点は、申請した工事種類ごとに算出。2年平均(激変緩和措置により3年平均を選択することも可)。激変緩和措置については、X1において選択したものと同じパターンが自動的に適用される。